江戸の魅力満載!『鬼平犯科帳』を自転車で巡るプライベートツアー
プライベートツアーは、別々にお申し込みをした参加者さま同士がかちあうことなく時間を過ごせる形式のツアーです。ソーシャルディスタンスが叫ばれる昨今、密にならずに楽しめる日帰りのレクリエーションとして注目されています。
特に密かな人気となっているのが、首都圏近郊に住んでいる人が楽しめる、都内の日帰りプライベートツアー。今回ご紹介するのは、いつもの街がちょっと違って見える、江戸の魅力満載な「鬼平犯科帳」の物語を辿るツアーです。
※こちらでもお申込みいただけます。
池波正太郎の描く「鬼平犯科帳」の時代、東京の川
江戸時代、輸送の主力は舟。町には無数の堀割(運河)が張り巡らされました。その姿は、まさにイタリアのベニスのごとく。物だけでなく、人々も、舟を日常の足として使っていたのです。
とはいえ、現在その面影を偲ぶのは難しいもの。というのも、1964年の東京オリンピックの前後で埋め立てられ、あるいは暗渠(あんきょ)になってしまったからです。日本の発展を牽引し続けてきた首都が、近代化と共に江戸から東京へ姿を変えてしまうのは致し方ないことといえます。
ですが、川は廃れて忘れ去られてしまったわけではありません。近年では、災害時の輸送路として、またレジャーの場所として、再び川や運河が注目を浴びています。コロナウイルスの感染拡大前には、インバウンド旅行者を対象にした隅田川ツアーも盛況でした。お花見や夕涼みなど、季節によって楽しみ方が変わるのも魅力的だったのでしょうね。
そんな江戸の川や運河は、池波正太郎の時代小説『鬼平犯科帳』にも頻繁に登場します。金蔵から盗んだ金品を舟に乗せて逃げる盗人を、鬼平率いる火付盗賊改方も舟で追う。江戸中にめぐらされた水路の上で、迫力の捕り物が繰り広げられるシーンも少なくありません。池波正太郎自身、当時の江戸について次のように描写しています。
深川は、江戸の水郷といってよく、掘割が縦横にめぐっていて、「当時の深川は、イタリーのベニスに匹敵する」などという人もいる。(「座頭・徳の市」より引用)
長谷川宣以(長谷川平蔵)という人物の魅力もさることながら、江戸の水のネットワークに関する池波氏の知識が、物語をより豊かにしているのは間違いないでしょう。
ドラマ化、アニメ化も!池波正太郎の「鬼平犯科帳」
あまりにも有名な時代小説ゆえ、今更解説するのも野暮ですが、このサイクリングツアーをご紹介するにあたり、簡単に概要をご説明しておきましょう。
鬼平犯科帳は、1967〜1989年の間に刊行された時代小説のシリーズです。
実在した火付盗賊改型長官の長谷川宣以(:長谷川平蔵)と、彼の取り締まりの対象である盗賊たちが魅力ある物語を紡ぎます。
多くの人を魅了するその物語は文芸だけにとどまらず、ドラマ化、映画化され、舞台化や漫画化、アニメ化されるなど幅広いメディア展開がなされたほど。
この物語に登場する川、料亭、橋などのモデルとなったスポットを自転車で訪問して『鬼平犯科帳』の世界を体感できるのが、このプライベートツアーの醍醐味です。
「鬼平」の物語を知り尽くした方から、アウトドアの趣味に文芸の香りをプラスしたい方まで、大人の休日を満喫していただけることでしょう。
・池波正太郎サイト
・鬼平犯科帳-フジテレビオフィシャルサイト
https://www.fujitv.co.jp/onihei/
・アニメ「鬼平」公式サイト
・コミックシーモア「鬼平犯科帳」さいとうたかを
https://www.cmoa.jp/title/304/
・川で巡る、鬼平犯科帳の世界
時代小説の香りを感じる江戸サイクリング
江戸散策や街歩きは数あれど、サイクリングで物語の世界を1周というのはなかなか珍しいのではないでしょうか?
自転車ツアーといってもプライベートツアーですので、ペースは自由!
時代劇の世界に浸るべくゆっくりとコースを楽しむもよし、風を感じながら軽快な自転車のスピードを満喫するもよし、参加者さまのペースに合わせて東京のツアーを巡ります。
01 山谷堀
サイクリングでまず訪れるのは、山谷堀です。現在は埋め立てられて公園となっていますが、江戸時代は、大川(隅田川)と吉原を結ぶ掘割(運河)でした。豊かな武士や商人は、浅草で観劇や食事を楽しんだ後、女性を求めて舟で吉原を目指したそうです。

下町サイクリングツアーでは、自転車でこの山谷堀に沿って走ります。江戸時代の情景を思い浮かべながら、ポタリングしてみましょう。
いつもの「東京」にちらりと「江戸」が顔をのぞかせてくれるかもしれません。

02 待乳山聖天と「池波正太郎生誕の地」碑
『鬼平犯科帳』に頻繁に登場する待乳山聖天は、夫婦和合と商売繁盛のご利益があるとされている寺院です。自分の中に悪い念が生まれた時、境内にある大根にその念を込めて奉納することで邪気が払われ、夫婦、そして家族に円満をもたらします。また本堂に見られる巾着は、商売繁盛をもたらすシンボルです。

『鬼平犯科帳』の作家、池波正太郎はこの寺院の近くで生まれ、幼少時代を過ごしました。作品作りに際して、池波正太郎の頭には、常に待乳山聖天の思い出があったに違いありません。彼は、「大川(隅田川)の水と待乳山聖天宮は、私の心のふるさとのようなものだ」と語っていた、と碑にはあります。
『鬼平犯科帳』の世界だけでなく、池波正太郎の足跡にふれられるのも、この自転車ツアーの醍醐味です。

03 船宿・嶋や(今戸橋跡)
待乳山聖天から自転車で隅田川を渡る前、公園の中に今戸橋の親柱が保存されていますが、ここには船宿・嶋やがあったという設定です。

嶋やの主人は平蔵の幼友達の亀次郎で、平蔵や火盗の打ち合わせの場面で頻繁に登場します。また、山谷堀と大川の分岐点になっていることから、舟による探索の重要拠点でもあります。
また「迷路」(㉒)に登場する船頭・伊三郎の住居は、嶋やの向かいにあったという設定です。
◆山谷橋の船宿から、墨つぼの孫八を乗せた小舟が今戸橋をくぐって、いまや大川へ出ようとするとき、・・・・・・「墨つぼの孫八」⑬
◆そのまま東へ、入谷田圃を突っ切り、浅草寺の裏から山谷堀に出た。今戸橋に「嶋や」という、平蔵にはむかしなじみの船宿がある。「血闘」④
この辺りになると、ぐっと時代小説の中に入り込んだ気分になってきますね。実在の人物を主人公にした時代劇の小説は、実際の関連だけでなくこうしたフィクションの設定に思いを馳せるのもまた醍醐味といえます。
04 大川(隅田川)
今戸神社からは、サイクリングで大川、今の隅田川を渡ります。大川は、『鬼平犯科帳』の中に限りなく登場します。いや、登場しない回のほうが少ないのでは(数えたわけではありませんが・・・・・)、と思えるくらいです。

大川という名前の川は全国にあるかと思います。その町で一番大きい、一番有名な川には、この名前が付けられることが多いようです。江戸のエリアは東京よりもずっと狭かったので、ここが大川と呼ばれたのは、当然の成り行きでしょう。
ちなみに現代の隅田川は、元々は荒川です。荒川放水路が開通してから、そちらに荒川の名前を譲り、隅田川が正式名称になりました。
待乳山聖天のところでも書いたように、池波正太郎の心には、常に大川があったのだと思います。
ここでも時代小説鬼平犯科帳の世界と、現実の古き良き東京を生きた池波正太郎の足跡がリンクします。そこを自転車という文明の利器(?)で通る時、そこにもまた新たなロマンが生まれるような気がしますね。
私たちは、大川に架かる橋の中で唯一の歩行者・自転車専用橋の桜橋を渡り、墨田区へ入ります。
05 横川(大横川親水公園)大川を渡った鬼平サイクリングツアーは、東京スカイツリーの真下を通り、大横川親水公園の中を走ります。ここは現在、車が入ってこない、歩行者と自転車の専用スペースになっており、安心してポタリングできます。この公園は、江戸時代は水を張った堀割(運河)で、『鬼平犯科帳』にも頻繁に登場します。

こうして辿っていくと、江戸で堀割がいかに縦横無尽に張り巡らされていたかがわかります。
05 法恩寺と法恩寺橋
法恩寺橋は大横川親水公園に架かる橋のひとつで、このあたりから少し横にそれた所にある日蓮宗の法恩寺をサイクリングで訪問します。ふたつとも『鬼平犯科帳』ではよく登場しますので、鬼平巡りをする際には、ランドマークにもなるポイントです。

法恩寺の近くには、平蔵とその親友、岸井左馬之助が剣の腕を磨いた高杉道場があったという設定になっています。
◆幅二十間の本所・横川にかかる法恩寺橋をわたりきった長谷川平蔵は編笠のふちをあげ、さすがに、ふかい感慨をもってあたりを見まわした。「本所・桜屋敷」①
自転車で巡ると、散策とはまた違った風景に出会えるかもしれません。
06 堅川
鬼平サイクリングツアーは、堅川へ出ます。現在は高速道路の下で、暗渠化されてしまった部分も少なくない堅川ですが、『鬼平犯科帳』には頻出の川です。登場するポイントはたくさんあるのですが、大川との分岐点に近い場所は「竹河岸」と呼ばれていて、竹を扱う問屋が多かったようです。河岸は、残念ながら自転車で走れる道は少ないですが、所々にある橋をポタリングで渡りながら、鬼平の情景を感じてください。

◆このあたりは、俗に「竹河岸」とよばれているのでもわかるように、竹屋が多い。「盗賊人相書き」⑥
季節によっては、橋を渡る時に水面を渡ってくる風に江戸の情緒を感じられるのではないでしょうか。
07 長谷川平蔵・遠山金四郎屋敷跡
『鬼平犯科帳』には登場しないのですが、史実の長谷川平蔵、そして「遠山の金さん」こと遠山金四郎が住んでいた屋敷がここです。現在は歯科医院になっていて、オーナーの方が独自にこの碑を建てられたようです。

鬼平の世界と池波氏の生涯のように、ここでも違ったかたちで江戸時代と時代小説、そして現代がシンクロしているのが興味深いですね。
08 軍鶏鍋屋・五鉄
鬼平サイクリングツアーは堅川に戻ります。『鬼平犯科帳』では二之橋と表記されている二つ目橋の北詰に設定されているのが、鬼平ファンなら知らない人はいない軍鶏鍋屋・五鉄。ここへ、自転車で向かいます。

五鉄の初出は「本所・桜屋敷」①で、平蔵が無頼漢だった頃の仲間・相模の彦十はとの打ち合わせシーンに使われています。
五鉄は船宿ではありませんが、堅川沿いにあることもあり、やはり舟も出してくれます。

09 弥勒寺(笹や)
弥勒寺は、真言宗の小さな寺院ですが、『鬼平犯科帳』ファンなら、サイクリングでここを訪れないわけにはいきません! 弥勒寺の門前に出ている茶屋・笹やと、その女主人・お熊ばあさんの登場シーンは、何度も『鬼平犯科帳』に出てきます。

血のつながっていた母親にいじめ抜かれていた少年時代の長谷川平蔵は、家をたびたび飛び出し、深川で悪さをしては、この笹やに上がり込んでいました。平蔵が火盗長官になってからは、お熊が情報源としてたびたび活躍します。
また、「盗賊人相書き」⑥火盗から盗賊の人相書きを依頼される絵師・石田竹仙の家も、この弥勒寺の近くにあったという設定です。
◆(平蔵は)その帰り途に、いま、五間堀にかかる弥勒寺橋を南から北へわたり、弥勒寺門前へさしかかったところであった。「蛙の長助」⑩
10 小名木川(高橋、萬年橋)
大川に次ぎ、堅川、横川と同じくらいの頻度で『鬼平犯科帳』に登場するのが小名木川です。

地図を見ればおわかりだと思いますが、これらの川はほぼ直線になっており、自然の川ではなく、堀割(運河)であることがわかります。車が入ってこないので、サイクリングにも最適です。
小名木川は、徳川家康の命によって掘削された水路で、大川と江戸川を結んでいます。人口が急増していた江戸では、物資、特に塩が不足しており、当方地方から船で運搬する必要に迫られていました。当時は船も航海技術も未発達で、太平洋沿岸を下ってくるのは危険。そこで、利根川~江戸川をと内陸河川を通ってくる「内川廻し」が考案され、江戸川と大川の間に設置されたのが小名木川です。
『鬼平犯科帳』の中では、小名木川を舟で行き来する場面のほか、高橋、新高橋、萬年橋なども登場しますので、これらの橋をポタリングで訪問していきます。

◆平蔵、忠吾を乗せた舟を弁吉が力漕し、小名木川から深川へ入り、新高橋をくぐってすぐに右へ、・・・・・「泥亀」⑨
◆これを、小名木川に架かる高橋のたもとから見送った編笠姿の長谷川平蔵が・・・・・「二人女房」⑫
やはり鬼平の世界は堀割の発達と利便性をまざまざと感じさせてくれます。
11 深川江戸資料館、霊厳寺
江戸時代の深川の街並みを再現したジオラマを歩ける博物館です。ボランティアのガイドがいろいろと説明してくれますので、興味のあるコーナーに立ち寄ってみたらよいでしょう。川辺を再現した展示もあるので、『鬼平犯科帳』の世界に浸れるかもしれません。

資料館のすぐ横にある霊厳寺は、「二人女房」⑫に登場するお寺で、江戸六地蔵のひとつが境内で見られます。
昼食は、各自周辺でとられて結構ですが、ご飯の上にどっさりとあさりを乗せた「深川めし」はいかがでしょうか。

ぐるりと回った自転車のコースが、いい具合に空腹を作り出してくれているはずです。アウトドア派の方も大満足のボリュームですよ。
13 仙台堀川
現在の清澄公園のとなりに仙台藩の深川蔵屋敷があり、この堀を利用して仙台から送られた米などを運び入れたことから、仙台堀と呼ばれるようになりました。ポタリングで川辺や橋を訪れながら、『鬼平犯科帳』の場面を思い出してみましょう。

『鬼平犯科帳』でも頻出の掘割で、「盗賊人相書き」⑥などに登場する火盗の協力者、御用聞き・仙台堀の政七の家(現在は排水場)や、「密通」④で、その名の通り密会場所に使われた船宿・一文屋があった設定の亀久橋などがあります。
◆「これは大川に出るにちがいない。粂八。仙台堀にまわしておいた舟を、すぐに万年橋たもとの御船蔵のあたりにまわしておけ」・・・・・・「搔堀のおけい」⑦
14 清澄庭園
現在は都立の公園ですが、江戸時代には、大名屋敷の庭園だったそうです。
『鬼平犯科帳』のサイクリングツアーは、この庭園の前で解散となり、希望者は園内をご自由に見学して下さい。
(①②・・・・・は『鬼平犯科帳』文春文庫版の収蔵巻です)
鬼平犯科帳のお気に入りの巻を携えて本を開いてみるのも一興です。季節によって異なる魅力いっぱいの江戸散歩をお楽しみください。
●スケジュール
9:30ホテル「都電屋」に集合。用意が整い次第、出発。
・都電屋 https://www.tramhotel.com/

10:30 | 待乳山聖天 |
11:00 | 桜橋(隅田川) |
11:30 | 大横川親水公園(法恩寺など) |
12:30 | 堅川(軍鶏鍋や・五鉄など) |
13:00 | 深川散策(深川江戸資料館など)&昼食(各自負担) |
14:00 | 小名木川(高橋など) |
14:30 | 清澄庭園(自由散策)※庭園に入場されない方は、ここで解散。自転車は、ここで回収いたします。 |
●催行日:平日(特定日を除く。休日などその他の日をご希望の方は、下記コンタクトフォームでお問い合わせください)
●料金:7,000円(お1人)
●料金に含まれるもの:レンタサイクル、水ペットボトル1本、深川江戸資料館の入場料
●料金に含まれないもの:昼食代、清澄庭園の入場料(ご希望者のみ)、そのほかの個人でのお買い物など
●定員:4名
●ご注意事項
・ツアーの運営に際し、弊社は安全に対して細心の注意をもって当たります。万が一事故などがあった場合、弊社は応急手当、病院の手配などを行いますが、当方に責がない場合、その責任を負うものではございません。
・新型コロナウィルスCOVID-19の拡大状況によっては、立ち寄り先などを変更することがございます。また、ご参加者におかれましても、マスクの着用、ソーシャルディスタンスの確保など、感染拡大防止にご注意されますよう、お願い申し上げます。